まず、黄体の働きについて

黄体機能不全の前に、まず、黄体について解説します。この黄体というのは、卵子を排卵した後に、卵巣にある卵胞が変化して出来る器官です。この黄体が、黄体ホルモンの一種であるプロゲステロンを分泌します。
この黄体から分泌されるプロゲステロンの働きには、子宮内膜への受精卵の着床、体温を上昇させて妊娠を維持するなどの働きがあります。
黄体機能不全による不妊症について
黄体機能不全とは、黄体からのプロゲステロンの分泌量が少ない状態です。このプロゲステロンの分泌量が少ないと、子宮内膜の準備が十分に整わないため、受精卵が着床するときに悪影響が出てきます。
また、黄体機能不全の自覚症状としては、基礎体温表で見たときに、高温期の日数が10日以内だったり、高温期と低温期の平均の差が0,3度以内といった場合には、黄体機能不全の疑いがあります。
黄体機能不全の原因について
卵巣が黄体に変化するなどの調節は、間脳視床下部や脳下垂体といった脳の器官でコントロールされています。そのおかげで、体の周期に合わせて、適切なホルモンが分泌されてバランスが取れているのです。
そのため、視床下部や下垂体の機能に異常が起きると、ホルモンの分泌量やホルモンバランスが乱れます。そして、この影響が黄体にまで及んでしまうと、黄体機能不全になってしまいます。
黄体機能不全の検査と不妊治療
● 黄体機能不全の検査
黄体期に血液検査を行って、黄体からのプロゲステロンの分泌量を調べます。この測定結果が、10ng/ml未満だと黄体機能不全の疑いがあります。その場合には、詳しく調べるために、黄体期の子宮内膜の組織検査を行います。
● 黄体機能不全の治療法
黄体機能不全の治療としては、排卵が不規則な場合には「排卵誘発療法」を行います。また、黄体ホルモンが不足して機能不全を起こしている場合には、黄体期に黄体ホルモンを投与して補充する治療を行います。
どちらの治療法も、専門医の診断と薬の処方が必要です。基礎体温がおかしいと思ったら、まずは、産婦人科で診察を受けましょう。