まずは、卵管の働きについて

卵管とは、卵巣から子宮へ卵子を運ぶための細い管のことです。また、子宮の入り口の部分にあって、膣と子宮をつなぐ管のことを子宮頚管と言います。
この部分は、卵子と精子が出会って受精卵となる大切な場所です。そのため、この大事な通り道で癒着が起こったり、卵管が閉鎖している状態では、卵子と精子の出会いが邪魔されて、妊娠に悪影響がでてきます。
卵管の癒着・閉鎖の原因について
卵管の癒着や閉鎖の原因では、感染症や子宮内膜症、虫垂破裂、骨盤内の手術などが原因となったり、子宮外妊娠(子宮以外の場所で妊娠する)が卵管内で起きた場合も、卵管の損傷原因となります。
この他にも、性感染症などに感染すると、卵管内で炎症が起きて卵管の通り道が細くなり、卵管性の不妊症となる場合があります。
このような性感染症の種類としては、クラミジアや淋病の感染があります。とくに、クラミジアという感染症は、子宮頸管や卵管などの妊娠するために重要な場所でも炎症を起こしますので、細い卵管などはすぐに詰まってしまいます。
● クラミジアによる卵管障害
クラミジアによる感染が卵管にまで悪化すると、卵管部分にある線毛細胞まで傷つきます。この線毛細胞は、受精卵を子宮へ輸送する大切な役目があるので、この線毛細胞が傷つくと、受精卵の移動に支障が出てきます。
また、クラミジアの感染が卵管内だけでなく、腹腔内や卵管の周囲にまで炎症が広がると、癒着という症状がでます。こうなると、卵管の働きまで邪魔されてしまうので、不妊症の原因にもなります。
● 卵管の癒着
卵管に粘液栓ができたり、性感染症などで卵管の通りが悪くなっている状態です。卵管性の不妊症では、この卵管の通りが悪くなる症状が多く見られます。
● 卵管の閉鎖
卵管が完全に詰まっている状態です。卵管は2本ありますので、どちらか1本でも通っていれば自然妊娠する可能性は十分にあります。ただ、卵管が2本とも閉鎖していると、自然妊娠するのは非常に困難となります。
卵管の検査について
卵管の通り具合や閉鎖の検査には、子宮卵管造影検査や通水・通気検査などがあります。これらの検査では、卵管に造影剤などを流し込んで検査しますので、造影剤が通る時に、詰まり具合が改善されることもあります。
● 子宮卵管造影検査
子宮卵管造影検査は、カテーテルを使って子宮内に造影剤を流し込み、X線で撮影する検査です。流し込んだ造影剤の流れ方によって、卵管の詰まり具合を確認します。また、造影剤が卵管を通るときに、多少痛む場合もあるようです。
また、造影剤を卵管に流し込むので、卵管が広がったり、卵管内の粘液が除去される場合があります。そうすると、卵管の通り具合も良くなるので、卵管の詰まり具合が軽い場合では、この検査だけで治ることもあります。
● 通水・通気検査
この検査は、X線などの設備のない病院で、卵管の詰まり具合を検査する場合に行います。検査方法は、こちらもカテーテルを挿入して、子宮内に水や炭酸ガスを送り込んで卵管の詰まりを確認します。
この検査も、水や炭酸ガスを流し込むことで、卵管の通り具合が良くなる場合があるので、卵管のつまり具合が軽い場合は改善することがあります。