妊娠の仕組みと不妊検査

女性は、妊娠・出産するために、体のメカニズムも非情に複雑になっています。そして、女性が妊娠するためにも、妊娠にかかわる多くの器官が連携しますので、不妊症の検査も種類が多くなってきます。
また、女性の体のバイオリズム(周期)には、低温期や高温期・排卵期というサイクルがあるため、その状況にあった不妊検査を実施します。
排卵期の不妊症検査について
排卵期とは、熟成した卵が排卵される時期のことで、妊娠するには絶好のタイミングです。この時期に行う検査としては、フーナーテストなどがあります。
● フーナーテスト
フーナーテストとは、排卵期に夫婦生活を行って、その後の状態を調べる検査です。検査方法としては、子宮頸管から頸管粘液を採取して、それを顕微鏡で観察することによって、頸管粘液中でも精子が元気に活動しているかを調べます。また、フーナーテストと一緒に超音波検査も行うことも多いです。
● 高温期のホルモン検査
高温期とは、女性の体温が上昇して妊娠準備が整い、受精卵が着床しやすい時期です。この高温期の不妊検査には、血液中の黄体ホルモンの量を測定して、黄体が正常に機能しているか調べる検査があります。もし、この検査数値が低い場合には、黄体機能不全の疑いがあります。
● 子宮内膜組織の検査
子宮内膜組織の検査方法は、まず、少量の子宮内膜を採取して、それを顕微鏡で観察して診断する検査です。この検査では、黄体機能不全や結核性子宮内膜炎などの診断できます。
● 低温期のホルモン検査
低温期の不妊検査には、血液中のホルモンなどを測定して、妊娠の妨げがないかを調べます。また、卵胞を育てる卵胞刺激ホルモンや、排卵を促す黄体化ホルモン、乳汁を分泌させるプロラクチンなどのホルモンも測定します。
● 子宮卵管造影の検査
子宮に造影剤を注入して、レントゲンで撮影する検査です。この検査では、卵管の通り具合、子宮腔の異常や癒着などを調べます。また、子宮に造影剤を注入するため、卵管の詰まりが軽い場合には、この検査で改善することもあります。
● 卵管通気検査
卵管通気検査は、子宮卵管造影検査より簡単に実施できます。検査方法は、子宮口に卵管通気用の器具をつけて二酸化炭素を注入し、子宮や卵管などの内部圧力の変化を調べて検査します。
その他の不妊検査
● LH検査
LH検査は、原発性無月経、第2度無月経、多嚢胞性卵胞症候群などの場合に実施します。検査内容は、黄体ホルモン(LH)という視床下部から分泌されるホルモンを投与して、 LH と FSH の数値を経時的に調べます。この反応を調べることで、視床下部・下垂体・卵巣などに異常がないか調べます。
● 抗精子抗体の検査
抗精子抗体の検査は、女性の体内に、精子に対する抗体がないか調べる検査です。もし、精子に対する抗体があると、体の免疫細胞が精子を攻撃(精子を活動できなくする)するため、自然妊娠することが非常に難しくなります。
● 子宮鏡検査
子宮腔の異常が疑われるときに実施します。検査方法は、ファイバースコープなどで子宮腔を観察し、子宮筋腫や子宮内膜ポリープなどを調べます。